日 時 : 平成27年12月10日(木)14時~15時15分 | |
場 所 : 名古屋大学 VBL棟(3階)ミーティングルーム | |
趣 旨 : 噴霧燃焼は液体燃料を霧状にして吹き掛け燃焼させる方法で、直噴系エンジンやガスタービンなどで広く用いられている。 噴霧燃焼の燃焼形態および火炎伝播特性に与える液滴の大きさと数密度の影響に関する数値解析について分かり易く紹介する。 | |
講演プログラム | |
講 師 山下 博史 上席研究員 | |
講演タイトル:「噴霧燃焼の燃焼形態および火炎伝播特性に関する数値解析」 |
|
<講演概要>
噴霧燃焼は液体燃料を霧状にして吹き掛け燃焼させる方法で、直噴系エンジンやガスタービンなど多くの実用的な燃焼器で利用され ている。しかしながら、噴霧燃焼は非常に多数の燃料液滴の予熱、蒸発、混合、着火、燃焼、消炎を含む多様な物理的・化学的過程 が同時に進行する非定常現象であり、未だ十分には解明されていない。特に、燃焼器の性能を改善するためにはその燃焼形態や火炎 伝播特性を解明することは非常に重要な課題である。燃焼形態については、Chiuらの群燃焼モデルがあるが、実験結果との比較検討 が十分ではなく、その検証が必要である。一方、火炎伝播特性についても、単一液滴や数個の液滴列の挙動に対する実験や数値解析 や、微小重力下での実験等が行われているが、非常に多数の液滴からなる液滴群に関する数値解析は少ない。また、液滴の大きさも 実際とは桁違いに大きなサイズの場合しか取り扱われていない。 以上のような観点から、噴霧燃焼における燃焼形態および火炎伝播特性に与える噴霧領域の大きさ、液滴の数密度、雰囲気の組成や 温度、個々の液滴の大きさ等の影響について、反応性流体力学に基づく数値解析を行い、これらの現象を支配する新しい無次元物理 パラメータを探求し、さらに、理論的解析や実験により提案されている従来の知見と比較検討し、その妥当性について調べた研究に ついて紹介した。 まず、燃焼形態については、自発着火による燃焼場を用い、単滴着火・燃焼、一部連結着火・燃焼、内部着火・燃焼、内部着火かつ 外周部着火・燃焼、外周部着火・燃焼および外殻燃焼の6つのモードに分類できることを示した。また、群燃焼数に加えて、燃料液 滴配置範囲内に存在する酸素量を考慮するために初期当量比を用いてモードを分類する必要があることを指摘した。次に、火炎伝播 特性については、強制着火による燃焼場を用い、火炎伝播速度は、予混合燃焼より燃料噴霧燃焼のほうが大きく、最大となる初期当 量比は希薄側となることを示し、これは、全体として希薄の場合に液滴近傍での局所的な当量比が量論に近くなること、および液滴 の蒸発により空気が押し出されるためであることを指摘した。また、液滴の影響により複雑な火炎形状となり、特に、液滴直径が大 きい場合には火炎面は大きな凹凸を有し、火炎伝播速度が大きいことを示した。 <連絡先> 氏名:山下 博史 所属:公益財団法人 名古屋産業科学研究所 研究部 役職:上席研究員 E-mail: yamashitah☆nisri.jp(スパムメール対策のため、☆を@に変えてください。) |