研究の情報を知りたい 研究部 DOR

  1. TOP
  2. 研究部(DOR)
  3. 最新情報
  4. 詳細

最新情報

セミナー 2024/07/08

第46回産業科学フォーラムを開催しました

第46回産業科学フォーラムを開催しました

日時 / 2024年7月1日(月)14時~15時15分

場所 / 名古屋大学ES館1階会議室およびオンライン方式

参加者 / 20名(内オンライン参加者 10名)

講師 / 板谷義紀 上席研究員(岐阜大学名誉教授、愛知工業大学客員教授)

講演タイトル / カーボンニュートラルに向けた熱プロセス

<講演概要>
 自己紹介およびこれまでの主な研究の紹介の後、日本の温暖化対策の取り組みならびに温暖化対策としてのカーボンニュートラルに向けた技術的課題をレビューされ、エネルギー源に占める化石エネルギーの推移と石油化学工業分野の省エネルギー対策における問題点、100℃以下の排熱が利用できない・されていない、を示された。
 次いで、熱と電気の伝導・対流の類似性をもとに、電気信号を増幅・切断するトランジスタの機能を持つサーマルトランジスタ(熱増幅)の研究が紹介された。基本は低温排熱でも駆動源として作動する高効率排熱回収型省エネルギープロセス技術の開発である。媒体としてLiBr-H2Oを組み合わせた冷熱生成モード、高温生成モードが設計できる。それらを組み合わせた6塔式サーマルトランジスタの試算では、未利用の低温排水から110℃以上の温熱源と10℃以下の冷媒が生成される。その解析結果は実証試験で計測した出口温度と一致した。このサーマルトランジスタの応用として、80℃の排水から120℃の熱風を取り出し乾燥に利用するシステムや今まで利用されていなかった太陽光を集熱し利用するプロセスが紹介された。

<討論>
 サーマルトランジスタに利用されるLiBrの化学的特性についての質問では毒性であること、真空下では問題ないが金属腐食能が強いことが技術開発では問題になる。Arガスを利用したマイクロ波プラズマの反応では、実験段階なのでArの回収は考えていないが、実用化に向けては考えておく必要があるとのことであった。吸熱式ヒートポンプの熱回収についての効率と出力については、電気的なシステムは効率が良いが、ヒートポンプでも電気的なものと同等以上なシステムが小型のスケールで可能なようである。
閉会の後も参加者と講師の間で活発な討論が行われた。

このページのトップへ