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第47回産業科学フォーラムを開催しました
第47回産業科学フォーラムの開催報告
日時 / 2025年1月17日(金)14時~15時20分
場所 / 名古屋大学VBL棟3階ベンチャーホールおよびオンライン方式
参加者 / 12名(内オンライン参加者 6名)
講師 / 奥宮正哉 上席研究員(名古屋大学名誉教授)
講演タイトル / ZEB(Zero Energy/Emission Building)のデザイン手法とベネフィット
<講演概要>
地球温暖化の時代から地球沸騰化の時代へ移行しつつあることから、パリ協定における温室効果ガスの排出削減目標の見直しが進められている。日本でも2020年10月、「2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」ことを宣言し、「省エネルギーを徹底し、再生可能エネルギーを最大限導入する」としている。2050年カーボンニュートラルへのグリーン成長戦略では、住宅・建築物は一度建設されるとエネルギー性能は長期間改善されないという性質上、早急に取り組むべき分野とされている。
建築物の省エネルギー政策では、民生用エネルギー消費が30%から40%を占めており、この分野のエネルギー消費量を適正化することが課題である。日本の省エネルギー政策に関連した建築物省エネ法の概要が示され、建築物の省エネ基準適合判定・表示制度が説明された。
ZEBを省エネルギーを実現したうえで再生可能エネルギーを導入し、エネルギー消費と供給の収支がゼロとなる建築物と定義し評価する。ZEBのデザインメソッドとZero Energy からZero Emissionへの流れ、建築物の使用期間前後の建設時や解体時に発生する温室効果ガスも考慮すること、が示された。
建築のZEB化には相応のコストがかかるが、エネルギー効率の向上によってもたらされる種々のベネフィットがある。ZEBの運用におけるコスト削減と、コベネフィットの定量化(価値化)の手法の開発の必要性と、先進事業例が紹介された。